「お母さん・・・お腹の赤ちゃんの心音が聞こえないんですよ・・・。」
医師からのとても残酷な一言。
よく『人の命は本当に儚(はかな)い』と言うけれど、いくら何でも早すぎる。
妊婦さんのうち8~15%は、悲しいことですが【流産】をしてしまうのだそうです。
それは、お母さんのお腹に命を宿しながらも、7人に1人くらいはその小さな命の火が消えてしまうということ。
お母さんがどれだけお腹の子のことを気にかけて、大事に命を育んでいこうと思っていても、それが叶わないこともあります。
あなたも、そんな例えようのない【つらい思い】をされたのでしょう。
もしかして、自分をとことん責めて抜いて、ずっと苦しみ続けていませんか?
そして、水子となった我が子が、
- 今どこにいるのか
- 何をしているのか
- 寂しい思いをしていないか
- 私のことを恨んでいないか
と心配になっていませんか?
大丈夫です、何の心配もいりませんよ!
あなたの水子さんは、仏様にしっかりと守られて『とても幸せ』に過ごしているんですよ。
だから、あなたもそんなに自分のことを責めないで!
この記事は、最近【流産】を経験され、とてもつらい思いをしているあなたのために、
- あなたの水子さんが今どのように過ごしているのか
- どのように水子供養をすればいいのか
を書いています。
この記事を読んだ後に、あなたの気持ちが少しでも晴れてくれることを心から願います。
水子とは?

水子とは、
『お母さんのお腹に命を宿したものの、この世に生まれ出ることができなかった子ども』
のことをいいます。
『水子(みずこ)』という呼び方の由来は、【姿や形が残らない状態で、まるで水に流れるようにして命を終えてしまう】ことからそのように呼ばれます。
また、【親の顔を見ることができなかった子ども】ということから『見ず子』と呼ぶ、という説もあります。
お腹に宿った命があまりにも早く消えてしまうこと、その苦しみは、あなたやあなたと同じ経験をした人にしかわからないですよね。
今のあなたは、
- 「自分の体調管理が悪かったせいではないか。」
- 「あの時もっと注意していればよかった。」
- 「あんな事をしてしまったのが原因かも。」
- 「小さな命を生み出してやれなかったのは全部私のせいだ、本当にごめんなさい。」
- 「もしかすると、あの子はこんな私のことを恨んでいるかもしれない・・・。」
そんなふうに自分ばかりを責めていますよね?
きっと、徹底的に自分を責めているはずです。
あなたのそばに寄り添って一緒に悲しんでおられるご主人も、今のあなたの苦しみの全部は理解してあげられないのです。
それほどに、お腹の中の小さな命を失うことは当事者にしかわからない非常に苦しいことなんですよね。
でも、生み出せなかったその小さな命は、元気な泣き声を聞くことはできませんでしたが、あなたのお腹の中に確かに存在していた尊い命です。
そして、小さな命であっても、あなたの愛情がたっぷりと注がれた、ただ一つの愛らしい命です。
また、世間の悪風に染まることなく、一切の穢(けが)れがない【清らかそのもの】な命です。
あなたの水子さんは間違いなく、
唯一無二であり、とても愛らしく清らか
です。
そんな水子さんにとって、母親はあなただけなんです。
水子さんは、短い間だったかもしれませんが、あなたのお腹に宿ったことを幸せに思っているはずですよ。
水子はどこで何をしているの?
ウチの寺には水子に関する問い合わせが時々あります。
問い合わせの内容で多いのが、
「あの子は今頃どうしているのでしょう?ちゃんと幸せになっているのでしょうか?どこかで泣いて寂しがっていませんか?」
というものです。
あなたも同じですよね?
ご安心ください、あなたの水子さんは、
お地蔵様に守られて、浄土(=仏様の世界)で、とても元気に安らかに過ごしていますよ。
水子やまだ小さな子どもが亡くなってしまった場合、そのようなお子様を必ず『お地蔵様』が守ってくださる、といわれています。
お地蔵様は本来、浄土へと道案内をしてくれる仏様です。
そして、いつでもどこでも私たちを見守って、正しい道へと導いてくださる仏様です。
また、お地蔵様は、私たちの苦しみを代わりに受けてくれる、【代受苦(だいじゅく)】の仏様であるともいわれています。
ですから、万が一あなたのお子様に何か苦しいことがあっても、お地蔵様がすぐに駆けつけて、代わりに苦しみを受けてくださるのです。
お地蔵様が導く先にある『浄土(じょうど)』とは、仏様のおられる世界、つまり、究極の【安全で安心な世界】です。
慈愛に満ちあふれたお地蔵様が、あなたの水子さんを優しくしっかりと守ってくださり、最も安らかな世界へと連れて行ってくださるのです。
あなたの水子さんは、どこよりも安全な場所で、お地蔵様をはじめたくさんの仏様に見守られながら、とても元気に安らかに過ごしていますよ。
ですから、あなたが心配をしているようなことは一切ありませんから安心してくださいね。
水子さんはあなたのことをどう思っているのか
じつは、つい最近も水子について女性の方から電話がありました。
その女性は話の中で、
- 「私のせいであの子は生まれることができませんでした。もしかして、あの子は私のことを恨んでいたりするのでしょうか?」
と今にも消えそうな声でおっしゃいました。
電話での話しぶりから察するに、ずいぶんと落ち込んでおられるようでした、まぁ当然ですよね。
そして、やはりその時も『私のせいで』という言葉が出てきました。
流産をされたお母さんは、みんな「私のせいで」と言います。
小さな命を生み出してあげられなかったことは、それほど強い自責の念にかられるのですね。
お母さんのせいだなんて、本当はそんなことはないのですけれどもね・・・。
でも、その女性との話の中で一番気になったのが、『私のことを恨んでいる』という言葉が出たことです。
あなたも同じようなことを思っておられますよね?
では、ハッキリと言わせていただきます。
水子さんは、あなたのことを絶対に恨んでなんかいませんよ!
あなたは、自分のお腹に命が宿ったとわかった時、嬉しかったですよね?
もう、その瞬間からお腹の子どもが愛おしかったですよね?
わずかな時間だったかもしれませんが、あなたは水子さんにたくさんの愛情を注いで、とても大事にしてきましたよね?
それは、きっと水子さんへ十分に伝わっています。
そして、水子さんもそのことに感謝をしていますよ。
ですから、あなたのことを恨むなんて、そんなことをするはずがありません。
全くの逆です。
子どもがみんなお母さんのことを大好きなように、あなたの水子さんも、
あなたのことが大好き
なんですよ!
水子の【たたり】がある?
一部の人は、「水子の霊を粗末に扱うと【たたり】がある」と言います。
本当に水子の【たたり】はあるのでしょうか?
結論を言いますと、
水子の【たたり】なんて絶対にありません!
そうです、そんなものあるわけないじゃないですか。
では、なぜ『水子の霊の【たたり】』なんていうことがいわれるようになったのでしょうか?
それはおそらく、戦後になってから増加している『人工中絶』を心理的にいましめる目的があるからです。
水子が親をたたるなんてことは【絶対にあり得ない】ことです。
水子が親を【たたる】ということは、そこに『憎しみ』や『恨み』という感情があるはずです。
人のことを『憎む』とか『恨む』という感情は、私たちのようにいろんな経験をしてから芽生えるものです。
水子はそのような経験をしていません、つまり完全なる【純真無垢】なわけです。
何にも染められていない水子の心は、私たちのように誰かを『憎む』とか『恨む』という感情そのものを持ち合わせていない【とても清らか】な状態なのです。
つまり、
- 『水子が親をたたる』という発想は、憎しみや恨みという感情を知っている私たちによって作り出された【幻想】にすぎない
のです。
ですから、水子が親をたたるなんてことは絶対にありませんよ。
あなたの水子さんはきっと、あなたに何か大事なことを伝えたかった
ご縁があってお母さんのお腹に宿ってくれる水子さん。
しかし、非情にもお腹の中でその小さな命の火が消えてしまった時、大きな悲しみの中でお母さんは、
「わずかな時間だったけれど、はたしてあの子は幸せだったのかな?あの子は何のために私のところへ来てくれたのだろう?」
と思うものです。
あなたのお子様は、決して無意味にあなたのお腹に宿ったわけではありません。
水子となったあなたのお子様は、きっと、あなたに『何か大事なことを伝えに来た』んですよ。
例えば、あなたは妊娠を通じて、
- 我が子を失うことの、例えようのない悲しみと苦しみ
- 人の命のはかなさ
- 今ここに自分が生きていることは、当たり前なのではなく、とてもありがたい事であること
- 母親の我が子に対する無条件の愛情
- 妊娠するということが、どれだけ嬉しいことで、そして、どれだけ大変なことであるか
- お腹の中の子どもを育てる上で、いかに男が役に立たない存在であるか
など、他にもたくさんのことを感じたり、考えたり、発見したりしたと思います。
それらは、お子様を妊娠していなければ経験しなかったことです。
お子様には、それらをあなたに伝えなければいけない理由があったのだと思います。
昔から、『子どもは、生まれる前に自分の親となる人を選ぶ』といわれています。
子どもは、自分にとってふさわしい親を選ぶまでは、他の誰のところにも生まれることをせず、時には何年もじっと待つのだそうですよ。
ですから、あなたのお子様は、お子様自身の意志であなたのところへ行くと決めたのです。
あなたに大事な何かを伝えたくて、あなたのお腹に命を宿したのです。
そして、大事な何かをあなたに伝え終わると、あまりに早く去ってしまったのです。
あなたが妊娠を通じて得たものは、水子となったお子様からのとても貴重な『贈り物』です。
せっかくの『贈り物』を、どうか無駄にしないでくださいね。
どのように水子を供養すればいい?

短い期間だったとはいえ、あなたのお腹に宿っていた小さな命。
そんな小さな命は、あなたにいろんな『贈り物』をしてくれました。
そのことへの感謝を伝えるためにも、水子となったあなたのお子様を供養してあげてください。
位牌や石像を造った方がいいの?
人が亡くなると、故人が授かった戒名で『位牌』を作ります。
同じように、水子にも戒名を授けて、そして『位牌』を作るべきなのでしょうか?
これはおそらく、人によって意見が違うでしょう。
ぼくは、水子に戒名を授けたり位牌を作ったり、そこまでしなくてもいいのでは?と思っています。
誤解しないでくださいね、それらを「してはいけない」と言っているのではありません。
ウチの寺には、水子さんに戒名を授けて位牌も作っている方がおられます。
それは、その方なりの【水子さんに対する供養の気持ちの表れ】であり、とても丁寧な供養のやり方です。
でも、事情によってそのようなことをできない人もいます。
そのような人は、【水子さんのことを思い出してあげる】だけでも十分なのではないかな、と思っているのです。
そして、もう一つ。
よく、『水子を供養するために、お墓にお地蔵様の石像を安置した方がいい』といわれます。
先ほど説明しましたように、お地蔵様は水子を守り導いてくださる仏様なので、石像を安置するのはいいことだと思います。
実際に、ウチの寺にも多くの家のお墓にお地蔵様の石像が安置されています。
昔は、それくらい多くの水子がいて、そして小さな子どもが早く他界してしまっていたのですね。
しかし、それは水子の供養をする上で【必要なこと】というわけではありません。
もちろん、お地蔵様の石像を安置してもよいですが、それができない場合は、あなたのお住まいの一番近くにおられるお地蔵様に手を合わせれば十分ですよ。
お地蔵様に手を合わせる
お地蔵様は、お寺やお墓だけではなく、道端などいろんな場所に安置されています。
それは、お地蔵様が、
地獄から仏の世界まで、私たちがどこにいてもすぐに駆けつけて、優しく救いの手を差し伸べてくださる仏様
だからです。
つまり、どこにいても私たちを救えるように、いろんな場所にお地蔵様が安置されているのです。
お地蔵様はいろんな世界を走り回っていろんな人々に救いの手を差し伸べているので、浄土へ通じる道にも詳しいのです。
水子や小さな子どもは、浄土への正しい道がわからず迷子になってしまいます。
そこへ、お地蔵様が駆けつけて、迷子になった子ども達を浄土まで連れて行ってくださる、というわけなんです。
あなたのお住まいの近くにお地蔵様はおられませんか?
もしもお地蔵様がおられたら、あなたの水子さんのことは、そのお地蔵様に全てお任せしてください。
そして、そのお地蔵様の前を通る度に手を合わせてください。
それだけで十分な水子供養になっていますよ。
【関連記事】:手を合わせること【合掌】の意味。両手を合わせ仏様と一体になり、全身を清める。
お寺で水子供養の法要をしてもらう
お地蔵様に手を合わせるだけでも十分だとは思いますが、それでも「ちゃんとお寺で水子供養をしたい」という気持ちになるのが親心ですよね。
全国各地の多くのお寺では『水子供養』をしています。
その中には、定期的に合同形式での水子供養を行うお寺もあります。
また、毎年の8月24日に『地蔵盆』として、水子供養をしているお寺も多いですよ。
あなたのお住まいの近くにもそのようなお寺はありませんか?
そこのお寺で、法要日にあわせて供養の申し込みをすれば大丈夫です。
ほとんどのお寺は、事前に連絡を入れて依頼をしておけば水子供養をしてくれますのでね。
ちなみに、水子供養でお寺へ納めるお布施は、だいたい【1〜3万円】が相場です。
一度くらいはお寺でちゃんと供養してもらう方がいいかもしれませんね。
水子さんのことを想ってしっかりと供養をするのですから、水子さんもきっと「ありがとう」って喜んでくれますよ。
一度しっかりと水子供養をすることで、あなた自身も少し気分が晴れることでしょう。
お寺で水子供養をする時は、せっかくですから、できるだけご主人とご一緒に供養してあげてください。
その方が水子さんはもっと喜んでくれますから。
一番の供養はあなたが水子さんを忘れずにいること
水子供養は、すでに紹介したような『お地蔵様に手を合わせる』や『お寺で法要をしてもらう』などの他にもいろんな方法がありますよ。
でも、一番の水子供養の方法は、
あなたが水子さんのことを忘れないでいてあげる
ということです。
これは、毎日ちゃんと思い出せということではありません。
街を歩いていて小さな子どもを見かけると、「あぁ、うちの子も本当だったら今頃はあんなカンジだろうな」と思いますよね?
そのように『何かをきっかけに水子さんのことを思い出す』ということが大事で、それがよい供養にもなるんです。
ぼくのいるお寺の信者さんに、
水子さんが亡くなった日だけではなく、本来なら生まれ出る日(=出産予定日)を【水子さんの誕生日】として扱い、毎年その日には必ず誕生日のお祝いとしてお地蔵様をお参りする
という方がいます。
これって、とても愛情のこもった供養の方法だと思いませんか?
その信者さんの水子さんは幸せですよ、きっと満面の笑顔で喜んでいることでしょう。
まとめ:あなたの水子さんは、お地蔵様に守られて、元気に安らかに過ごしています
亡くなった自分の子どもが今どこで何をしているのか。
一人で寂しがって泣いていないだろうか。
このように心配をされるお母さんはとても多いです。
大丈夫ですよ、何も心配することはありませんから。
あなたの水子さんは、
これ以上ないくらい【安全で安心できる場所】で、
お地蔵様やたくさんの仏様に見守られながら、
元気いっぱいに、そして安らかに、
過ごしていますよ。
水子さんは、あなたが幸せになることを願っているはずです。
あなたに前を向いてほしいと思っているはずです。
誰だって自分のお母さんの幸せそうな笑顔が見たいですものね。
忘れないでください。
水子さんはあなたを選んで宿ってくれました。
あなたは水子さんにとって、
たった一人の『自慢のお母さん』
なのです。
いつまでも水子さんの『自慢のお母さん』であり続けてくださいね。