仏事全般

戒名は自分でつけてもいいの?戒名のつけ方を詳しく説明します。

どうも、未熟僧(みじゅくそう)と申します。

私は20年以上お坊さんをしています。

この記事はこんな人に向けて書いています
  • 自分の戒名は、お坊さんに頼むのではなく【自分自身】でつけてもいいの?
  • 自分で戒名をつける時に注意することは何なの?
  • 具体的な『戒名のつけ方』を知りたい

人が亡くなると、お葬式をして、故人には『戒名』がつけられます。

故人の『戒名』は、お葬式でお経を読んでいるお坊さんがつけます。

多くの人は、そのことを特に疑問に思いません。

だって、『戒名は仏教の専門家であるお坊さんしかつけられないもの』と刷り込まれているから。

でも、あなたはこう思っているんですよね?

「自分の戒名くらい自分でつけたいんだけどなぁ。戒名ってお坊さんしかつけられないものなの?」

って。

戒名というものは、お坊さんがつけるのが一般的です。

でも、じつは、

戒名は、あなたが【自分自身】でつけられるもの

なんです。

そうはいっても、どうやって戒名をつければいいのかわからないですよね?

そこで、今回はお坊さんである私が『戒名のつけ方』をあなたに教えちゃいます。

戒名の意味や構造などをふまえながら、戒名をつける具体的な手順を詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。

戒名は自分でつけてもいいの?

仏式のお葬式の場合、一般的には故人に【戒名】をつけます。

そして、その戒名は『お坊さん』がつけるというのが普通です。

でも、最近では、

  • 「自分の戒名なんやから【自分自身】でつけたいねん!」

という人が増えているんです。

そこで出てくるのが、

「そうはいうても、自分で戒名をつけてもエエんかな?」

という疑問です。

では、さっさと結論から言いますが、

戒名は【自分自身】でつけられます。

そうです、あなたが【自分自身】で自分の戒名を決めることができるんです。

なんなら、あなたが【あなたの家族の戒名】をつけることだってできますよ。

戒名というのは、その名のおとり、

  • 戒律を守る者の【名前】

です。

名前なんだから、それを誰がつけようと自由なわけですよ。

あなたのお子様の名前は誰がつけましたか?

きっと、夫婦でいろいろと調べて、たくさん話し合いをして、それでようやくお子様の名前が決まったはずです。

その名前には『さまざまな想い』が込められていますよね?

そんな大事な『名付け』を他人にさせようと思います?

戒名も同じなんです。

自分の名前(戒名)を家族でもない他人に決められるのは嫌でしょ?

だったら、自分の戒名はあなた自身でつけてしまえばいいんです。

ただ、戒名をつける時には当然ながら『戒名のつけ方』というものがありますので、それは必ず守らなければなりません。

自分で戒名をつけるなら、戒名の構造や各部分の意味をしっかりと理解してからでないと、後代に【無知をさらした戒名】を残すことになります。

決して『何となく』ではなく、じっくりと考えて戒名をつけるようにしましょう。

戒名って何?

戒名をつけるには、まず、

  • 戒名とは何なのか?

を知る必要があります。

当たり前ですよね、何だかよくわからないモノに名前なんかつけられませんからね。

戒名というのは、

仏弟子として戒律を守る者の名前

のことです。

『仏弟子』というのは要するに、

  • 偉い仏様たちに守られながら修行する者

のことですね。

『戒律』というのは、

  • 修行する上で守るべき【約束ごと】

のことです。

お葬式では、【故人を仏弟子にする】ためにお坊さんがいろんな作法をします。

その作法の時に、「あなたの今後の名前はコレですよ。」と故人に戒名を授けるのです。

故人に授ける戒名は、通常はお坊さんが考えた戒名なのですが、その代わりにあなたが考えた戒名を授けてもらうというわけです。

ですから、戒名としてちゃんと成立しているものを考えないと、作法をしているお坊さんに

  • 「何やコレ?むちゃくちゃな戒名やな・・・。」

って思われてしまいます。

戒名に関する詳しいことはコチラの記事に書いていますので読んでみてください。

戒名は『絶対に必要』というわけではない。戒名をつける意味を解説しますあなたは『戒名』なんて必要ないと思いますか?ここ数年で増えてきた《戒名不要論》。本当に戒名は不要なのでしょうか?戒名の意味を踏まえて考えてみました。...

戒名をつける場合の注意点

あなたの戒名は【あなた自身】でつけることができます。

でも、

全部あなたの好きなようにできるわけではない

ので注意してくださいね。

あなたが予想もしないようなトラブルを招かないように、ちゃんと注意点を理解してから戒名をつけるようにしてください。

菩提寺があるなら、必ず住職の許可を得る

あなたの家のお墓はどこにありますか?

この質問に対する答えは、だいたい、

  1. お寺の墓地
  2. 霊園
  3. まだお墓は無い

のどれかでしょう。

この中で、②と③に該当する場合は、次の『戒名料が減るとは限らない』の項目まで読み飛ばしてください。

しかし、①『お寺の墓地』を選んだあなたは、ここからの内容をよく読んでおいてください。

あなたの家のお墓が『お寺の墓地』にあるということは、あなたにとってそのお寺は【菩提寺(ぼだいじ)】という存在になるんです。

そして、そのお寺にとってあなたの家は、【檀家(だんか)】という存在になります。

菩提寺というのは、

  • あなたの家のお墓を守り、あなたの家の仏様を供養していく寺

のことです。

そして、檀家というのは、

  • そのお寺の宗派の教えを信仰して、お寺を支えていく立場

ということです。

あなたの家とお寺がお互いに【檀家と菩提寺の関係になる】と約束したからこそ、あなたの家のお墓がそのお寺の墓地にあるのです。

だから、あなたの家のお葬式や法事は『菩提寺の住職』がするわけです。

そうなると、あなたの家の仏様の戒名も同じように『菩提寺の住職』がつけるんです。

その『菩提寺の住職』のすべき仕事を『あなた』がするのですから、そこはやはり許可を得ておかないとマズいですよ。

ということで、自分自身で戒名をつけるのなら、

必ず住職の許可を得る

ことは忘れないでくださいね。

しかし、あなたが自分自身で戒名をつけることを菩提寺の住職が許可してくれるかどうかはわかりませんよ。

住職によっては、「戒名はちゃんと修行をしたお坊さんだけがつけられるものだ!」という考えの人も多いですからね。

だからといって、許可を得ないまま「自分の戒名は自分自身でつけました」なんて言ったら、菩提寺とかなりモメることになりますし、その後のお寺との関係悪化は必至です。

下手をすると、菩提寺にあるあなたのお墓を使用できなくなる可能性まで出てきてしまいます。

許可をしてもらえるかどうかは別として、菩提寺の住職へ事前にあなたの意思を伝えておくことだけは忘れないくださいね。

戒名料が減るとは限らない

戒名を自分でつけられるとなれば、もしかすると、

  • 「もう自分で戒名はつけたんやから、お葬式の時の【戒名料】は納めなくてもエエんやな♪」

と思うかもしれませんね。

でも、それはたぶん無理。

【戒名料】とは、お坊さんが戒名を考える『作業費用』ではありません。

戒名料は、お坊さんに対して『仏の道へ導いてくれることへの感謝の気持ちを表すため』に納めるものです。

ですから、あなたの戒名をお坊さんがつけようが、あなた自身でつけようが、それによって戒名料が変わるということはないでしょうね。

まぁ、戒名料などの【お布施】については、お坊さんによって考え方がまったく違うので何とも言えませんけどね。

もしかすると戒名料を差し引くというお寺もあるかもしれません。

とはいえ、その可能性はかなり低い。

もしも「戒名を自分でつけておけば、お葬式の時のお布施が安くなる。」と思っていたなら、【そうなるとは限らない】というふうに考えを改めた方がいいですよ。

あなたの家族の戒名をつける

あなたが自分の戒名だけではなく、あなたの家族の戒名をつけることも可能です。

注意すべき点や次の章から解説する『戒名のつけ方』は、あなたが自分で戒名をつける場合とまったく同じです。

家族でしっかりと話し合い、菩提寺の住職にちゃんと伝えた上で、あなたの家族の戒名をつけるようにしてください。

戒名のつけ方

戒名って、『何個かの漢字が並んで出来ている』というイメージですよね?

戒名としてつけられている漢字は、決して【何となく適当に】選ばれた漢字ではありません。

戒名には決まった【構造】があり、また各部分ごとに意味が決められています。

自分で戒名をつけるには、これらをちゃんと理解しておかないと後代に渡り恥をかくことになります。

戒名の各部分の意味をしっかりと考えながら、あなたらしい戒名をつけてくださいね。

戒名で使用してはいけない漢字

戒名をつけるにあたり【使用してはいけない漢字】がありますので注意してください。

戒名に使用する漢字は、【動物】を連想させるような字を避けるという決まりがあります。

例えば、飼っているペットを本当に愛しているからといって、戒名に【犬】とか【猫】などの漢字を使用してはいけません。

仏教では動物というものを【人間よりもさらに悟りから遠い存在】と考えるのです。

ですから、それを戒名につけるのは不適切だということなんです。

また、明らかに【負】を連想させるような漢字は避けるほうがいいですよ。

これは特に『決まり』というわけではありませんが、【悪】とか【苦】なんていう漢字を戒名にいれるのはヤメましょうね。

戒名の構造とそれぞれの意味

戒名には決められた構造があります。

各部分ごとに漢字を決めていき、最後にすべてを合わせる、というカンジで戒名をつけます。

戒名の基本的な構造は、

  1. 院号(いんごう)
  2. 道号(どうごう)
  3. 戒名(かいみょう)
  4. 位号(いごう)

の【4部構成】になっています。

例えば、

  • 『〇〇院▲▲□□居士』

という戒名があったとします。

この場合、

  • 『〇〇院』の部分が院号
  • 『▲▲』の部分が道号
  • 『□□』の部分が戒名
  • 『居士』の部分が位号

となります。

一つ一つの意味を理解しながら漢字を決めていきましょう。

院号

まずは『院号(いんごう)』の部分です。

この院号の部分は、すべての人の戒名にあるというものではありません。

院号の部分は、

上位の戒名だけにつけられる

ものです。

【上位の戒名】というのは、ハッキリ言うと『お金をたくさん納めてくれた人につけられる戒名』ということです。

戒名の位は、今までのお寺に対する貢献度(どのくらいお金を出してくれたのか)で決まることがほとんどです。

つまり、お寺としては『今まで他よりも多くお布施を出してくださった方』に対しては【上位の戒名をつける】ことで感謝の気持ちを表すのです。

ですから、もしも今までお寺に対して何の貢献もしてくれなかった人が急に「自分の戒名には院号をつけたい」と言っても、本来であれば院号がつくことはありません。

こんなことを言って不愉快に思われたかもしれませんが、残念ながら戒名とはそういう基準でつけられるものなんですよね。

とはいえ、そもそも院号なんてそう簡単につけられるような戒名ではないのです。

院号の『院』というのは、【お寺】や【お堂】などを意味します。

ですから、本来の院号は、

  • お寺やお堂を建ててしまうくらい、多くのお布施や寄付を納めて、なおかつ深い信仰心がある人

ということを意味する戒名なんです。

しかし、日本が戦争をしていた頃は、国のために尊い命を落とした人々に対して『院号』の戒名がつけられました。

これによって、本来ならほぼつけられない『院号』の戒名が、多くの人々に授けられるようになったんです。

それ以来、『院号』は限られた一部の人だけの戒名ではなくなりました。

あなたがもしも『院号』をつけたいのなら、【院号は大変重い意味のあるもの】だということを十分に理解しておいてください。

道号

続いて『道号(どうごう)』の部分です。

道号の部分は、戒名を付ける人の、

  • 人柄
  • 好きなモノ(趣味など)
  • 仕事

といったようにその人を連想させる部分』となります。

そして、『院号』をつけない戒名である場合は、この道号から戒名が始まりますので大事な部分となります。

戒名を見ただけで誰の戒名なのかがわかるなら、それは【よくできた戒名】だと思います。

なので、ここの漢字を決める時には「自分ってどういう人間なんだろう?」と考えなければいけません。

これを機会に、家族や友人に『自分が他人からどう見えているか』を聞いてみてはどうでしょう?

そうすることで、自分以外の客観的な目線で考えられた【よくできた戒名】になると思いますよ。

戒名【※ここが一番重要な部分です!】

続いて『戒名』の部分です。

もしかして「あれっ?戒名の中にさらに戒名があるの?」って思いましたか?

じつは、一般的に戒名とよばれるものは、院号から位号までを合わせた全体のことを言っています。

しかし、本来の『戒名』というのはこの二文字のことをいうのです。

そして、戒名というのですから、言うまでもなくここが最重要の部分となります。

戒名の部分で大事なのは、

仏の道を歩むことで自分がどうなりたいのかを漢字で表現する

ということです。

自分自身で戒名をつけるのなら、ここを最も意識してほしいなと思います。

ここがしっかりと伝わる漢字が使われていれば、とりあえず戒名としては成立します。

また、戒名には現在の名前から漢字を一文字入れることができます。

これにより、さらに誰の戒名であるかがわかりやすくなります。

戒名全体を考える上で、まずは最重要となる『戒名』の部分から漢字を決めるようにしましょう。

位号

最後に『位号』の部分です。

位号には大まかに分けると次のような『位』があります。

男性の場合は、

  1. 院居士
  2. 居士
  3. 信士

があり、

女性の場合は、

  1. 院大姉
  2. 大姉
  3. 信女

があります。

これらの位号は、男女ともに①から順に上位の戒名となっています。

つまり、どの位号で戒名をつけるかによって、お寺へ納める戒名料が変わるのです。

ですから、①が最も上位の戒名なので、お寺へ納める金額も一番高額となるわけです。

さて、ここで一つ注意点があります。

あなたの家の仏様たちはどんな戒名がついていますか?

戒名をつける際には、他の仏様と位号を合わせる、というのが一般的です。

特に【夫婦】の場合は気をつけてください。

例えば、

  • すでに他界した夫に②の『居士』がついていたら、妻にも②の『大姉』をつける

みたいなカンジで位を合わせていくのです。

ですから、

  • すでに他界した夫に③の『信士』がついているのに、妻には①の『院大姉』をつける

みたいに、夫婦間で【大きな位の格差】が生まれないようにしましょう。

まとめ:戒名は自分でつけられるので、注意点を踏まえながら、しっかりと考えてください。

戒名は、お坊さんに頼まずに、あなたが【自分自身】でつけることができます。

ただし、あなたに菩提寺がある場合(=あなたの家のお墓がお寺の墓地にある場合)は、必ず住職の許可を得てください。

これをしないと、かなりモメますし、下手をすればそのお寺にあるお墓を使用できなくなってしまいます。

お寺にお墓がない場合は、そのような『縛り』はありませんから、あなたの自由に戒名をつけられます。

しかし、戒名をつけるというのは【ただ好きな『漢字』を並べる】ことではなく、

  1. 院号:お寺への貢献が多い人だけにつけられる部分
  2. 道号:人柄・好きなモノ・職業など、その人を連想させる部分
  3. 戒名:その人が、仏弟子としてあるべき姿・早く悟りを開けるように願う、という部分で、ここが一番大事
  4. 位号:戒名の『位』を表す部分

といったような構造をふまえて、それぞれに意味をしっかりと考えなくてはいけません。

あなたが自分自身で戒名をつけるというのなら、これらの決まりは必ず守ってくださいね。

そして、戒名というものは仏弟子として修行をする立場になった時に授けられる名前です。

だから、あなたが自分の戒名をつけるということは、誰からも強要されることなく、あなたが自分自身で【仏の道を歩む決意】をした、ということを意味します。

自分の戒名はあなた自身でつけても大丈夫ですが、それなりに自分の行動に責任を持って戒名をつけるようにしてくださいね。