- 棺にはお花以外にもいろんなものを一緒に入れてあげたい。
- 棺に【入れていいもの】と【入れてはいけないもの】を知りたい。
- 棺に入れられないものは一体どうすればいいの?
お葬式の最後には、参列者みんなで棺の中へたくさんのお花を入れてあげます。
また、お花以外にも、故人が生前に着ていた服、家族からの手紙、思い出の品などを棺に入れて送り出すのが一般的です。
でも、じつは、棺の中には【入れていいもの】と【入れてはいけないもの】があるのです。
そうすると、多くの人は「これは・・・入れちゃって大丈夫なのかな?」と迷ってしまうんですよね。
この記事では、お坊さん歴20年以上の僕が、
- 棺の中に【入れていいもの】は何か
- 棺の中に【入れてはいけないもの】は何か
- 棺に入れられないものはどうすればいいのか
ついて解説しています。
最後まで読んでいただければ、迷うことなく『棺に入れるもの』を選ぶことができますので、ぜひ参考にしてみてください。
棺に入れるものは『副葬品』といいます

お葬式の最後には、参列者みんなで棺の中へたくさんのお花を入れてキレイに飾りつけます。
また、棺の中には、お花だけではなく、
- 故人が身につけていたもの
- 家族からの手紙
- 故人との思い出の品
などを一緒に入れます。
そのような、お花以外に棺の中へ入れるモノのことを、
『副葬品(ふくそうひん)』
といいます。
棺の中へ副葬品を入れるという慣習はずっと昔からありました。
その証拠に日本でも古墳の中からたくさんの副葬品が発見されています。
あっ、だからといって、副葬品は【必ず入れるもの】というわけではないですよ。
副葬品はあくまで『副』なものですから。
ただ、お花だけではなくて【故人が大切にしていたもの】とか【故人といえばコレ】みたいな、『故人を象徴するもの』を棺の中へ一緒に入れてあげたいというご家族は多いんですよね。
そのようなご家族の気持ちを尊重して、葬儀社の人も「お花の他に、何か一緒に入れて差し上げる物はございませんか?」と声がけをしています。
だから、故人が喜ぶものはぜひ棺の中へ入れてあげてくださいね。
でも、いくら故人が喜ぶものとはいえ、あまりたくさん入れ過ぎないように注意しましょう。
棺の中には、基本的に『お花』をたくさん入れて飾りつけてあげるのです。
そこへ副葬品を【いくつか添えておく】というカンジなんですよね。
ですから、副葬品の数の目安は【2~3個】くらいがちょうどいいです。
しかし、ここで大事な注意点があります。
それは、
副葬品には【棺に入れていいもの】と【棺に入れてはいけないもの】がある
ということです。
日本は『火葬』をするので、そのような制限が出てしまうわけですね。
なので、どんなに故人が大切にしていたものでも、それが【棺に入れてはいけないもの】だったら入れることができないんですよ。
本当に残念なことですけど、これはもう仕方がありませんので、副葬品は【棺の中に入れていいもの】から選ぶようにしてください。
棺に入れていいもの

棺の中に、入れていいもの、入れてはいけないもの、これらを分別しようにも【基準】がないとできないですよね?
入れていいかどうかの基準は簡単です。
棺の中に入れていいものは、基本的に、
火葬した時にちゃんと燃えて、なおかつ有害物質が出ないもの
であれば問題はありません。
ご遺体と一緒に火葬をするわけですから、当然ながら【ちゃんと燃える】ということが前提になるわけですね。
例えば、
- 故人の着ていた服
- 家族からの手紙や寄せ書き
- 故人の趣味に関する可燃性のもの
- ぬいぐみや人形
などは入れられることが多いですよ。
私が今まで見てきた中でも圧倒的に多いのは『故人の着ていた服』です。
これはもう、ほとんど入れられていますね。
服は、故人がいつも身につけていたものですし、故人の姿を思い出すものでもあります。
服はちゃんと燃えるものですから棺に入れてあげてください。
2番目に多いのは『家族からの手紙や寄せ書き』です。
あなたにとって家族というのは【最愛の存在】ですよね?
それは故人にとっても同じです。
故人は最愛の家族から心のこもったメッセージを受け取るのですから、喜ばないはずがありませんよ。
もちろん手紙や寄せ書きはちゃんと燃えるので、家族みんなの手紙を棺に入れてあげてはどうでしょうか?
3番目に多いのは『故人の趣味に関する可燃性のもの』ですね。
趣味というのは人それぞれに違いますので、それはつまり『故人らしさ』をよく表すものになります。
趣味で使う道具を入れることもありますが、道具が入れられない場合は【趣味に関する雑誌】を入れることも多いです。
趣味に関するものというのは、故人が大好きだったものであり、それを楽しそうに取り組む故人の姿を思い出すものです。
棺に入れてあげると、きっと故人は喜んでくださるはずですよ。
4番目に多いのは『ぬいぐるみ・人形』です。
女性の場合に多いのですが、故人が大切にしていた『ぬいぐるみ』や『人形』を入れてあげるケースもあります。
ぬいぐるみや人形というのは、眠るときに抱いていたり、時には話しかけてみたり、まるでそれに人格が宿っているかのように扱いますよね。
なので、故人にとっては【思い入れのあるもの】となります。
故人が大切にしていた『ぬいぐるみ・人形』があれば、ぜひ棺に入れてあげましょう。
ただし、あまり大きなものだとダメなので、カバンに入るくらいのサイズのものにしてくださいね。
あとは、金属性の飾りなどが付いていたら取り外すようにしてください。
他にも私が今まで見てきた副葬品には、
- 御朱印帳(ごしゅいんちょう)
- 故人の愛読書《※分厚いのはダメです》
- 千羽鶴
- お菓子
- たばこ
などもありましたよ。
御朱印帳とは、お寺や神社をお参りした時に、【参拝の印】として記入と押印をしてもらった専用の冊子のことです。
棺に御朱印帳を入れることで、これからお世話になる仏様達に対して『故人が熱心にお寺を参拝していたこと』を示すのです。
あと、愛読書を入れている人もいますね。
故人が読者好きだった場合なんかは本を入れてあげてもいいでしょう。
とはいえ、じつは、本や雑誌というのは意外と灰が残ってしまうそうで、遺骨を灰の中から取り出さなきゃいけないので、できれば棺に入れない方がいいとのことです。
ですから、辞典みたいな厚さの本なんかはダメということですね。
でも、故人がとても好きだったのが厚い本ということもあるでしょう。
その場合は、数ページ分だけを切り取って棺に入れるようにしてください。
故人が生前に重い病気などをわずらっていた場合、千羽鶴を入れるということもあります。
家族みんなで心を込めて折った千羽鶴を入れて、あの世では病気で苦しまないようにとの祈りを込めているんですね。
ただ、本や雑誌などと同じように、たくさんの折り鶴を燃やすと、その分だけ灰が残ってしまいますので、あまり大量に入れない方が無難ではあります。
そして、お菓子を入れる人もいました。
棺に入れるくらいですから、故人はお菓子が大好きな方だったのでしょうね。
もちろん、お菓子もちゃんと燃えるものですから棺に入れて大丈夫ですよ。
でも、お菓子のパッケージが燃えにくい素材の場合は、中身を出して紙に包んでから入れるようにしてくださいね。
故人が喫煙者だった場合、たばこを入れることもあります。
たばこはしっかりと燃えますので、故人が好きだった銘柄のたばこを入れてあげてもいいですね。
ただし、ライターは入れちゃダメですよ、中のガスが爆発してしまいますので。
棺に入れてはいけないもの

次に、本当に残念ですが棺に入れてはいけないものもあります。
要するに【入れていいもの】と反対のものです。
つまり、
火葬した時にほとんど燃えないもの、なおかつ有害物質が出るもの
です。
例えば、
- 指輪
- ネックレス
- 腕時計
- 入れ歯
- メガネ
などは、故人が日頃から身に着けていたものなのに、棺の中には入れられないんです。
やはり、【金属】というのは燃えにくいのでダメなんですね。
高齢者は入れ歯を使うケースが多いのですが、入れ歯には金属が使用されているので棺に入れることができません。
また、【ガラス】は高温になると溶けてしまい、それが遺骨や火葬炉に付着してしまうので、これも棺の中には入れられないのです。
その他にも、
- 革製品やビニール素材のもの
- 果物などのような水分の多いもの
- 燃えると有毒ガスを発生させるもの
- カーボン製品
- 缶やビンに入っているお酒
などもダメです。
これらは火葬をした時に、
- 燃え残りやすいもの
- 有害物質が出るもの
- 燃焼の妨げとなるもの
だからダメなんですよね。
先ほどのガラスもそうですが、このようなものを一緒に火葬すると【火葬炉の故障】の原因となってしまうんですよね。
一つの火葬炉が故障すると、修理が終わるまでの間はそこを使えません。
最悪の場合は、その施設のすべての火葬炉を止めることもあり得ます。
火葬場なんて1つの市町村に1〜2カ所くらいしかありませんから、その中の1つがストップしたら他の火葬場にしわ寄せがいってしまい、その火葬場がすぐにパンクします。
そうすると、火葬場の予約が取れるのは10日くらい先になる、ということがあるんです。
ですから、【入れてはいけないもの】は何なのかを必ず葬儀社の人に確認するようにしましょう。
ちなみに、『ちゃんと燃えるもの』であっても棺に入れない方がいいものがあります。
それは『お金』です。
きっと「あの世でもしものことがあったときのために『お金』を入れてあげよう。」という思いでお金を入れようとするわけですよね。
まず、【硬貨】は金属ですから、燃やすことができませんので入れちゃダメです。
でも、【紙幣】なら燃やせますよね。
故人が三途の川を渡るときに使うと言われる『六文銭(ろくもんせん)』と似たような意味合いで紙幣を入れたいと思う人もいますが、紙幣を棺に入れるのはヤメた方がいいです。
基本的に『お金』は意図的に破損させてはいけないのです。
『お金』に関しては、【貨幣損傷等取締法】という法律があり、勝手に破いたり燃やしたり変形させてはいけないんですよね。
ただ、厳密にいうと、これは【硬貨】に対して適用されるものなので、紙幣に関してはグレーゾーンのようです。
紙幣を棺に入れても法律に違反することはなさそうですが、わざわざグレーゾーンのものを入れなくていいと思いますよ。
そもそも、あの世に行ったらお金を使うことはありません。
だから、六文銭の他にいくらお金を棺に入れたって、故人は喜ばないでしょうし、かえってジャマになるんじゃないですか?
だったら、そのお金は棺に入れるのではなく、その後の【故人の供養】のために使った方が、故人だって喜んでくれると思いますよ。
ペースメーカーを入れている場合はどうする?

本当であれば棺に入れてはいけないものでも『例外』があります。
それは、
ペースメーカー
です。
ペースメーカーは脈を整えるための重要な機械であり、まさに【命綱】ともいえるものです。
ただ、その『ペースメーカー』は金属製です。
しかも、『ペースメーカー』は高温になると爆発することがあるのです。
ですから、本当なら燃やしてはいけないものなんですよね。
とはいえ、故人の身体の中にあるものなので、わざわざご遺体にメスを入れて火葬前に取り出すというのも気が引けますよね。
ですから、多くの場合は、故人の身体にペースメーカーが入ったまま火葬をします。
そのためには、『故人の身体の中にペースメーカーがある』ことを、火葬場または葬儀社へ事前に知らせておく必要があるのです。
ちゃんと知らせておかないと、ペースメーカーの爆発によって火葬場の職員がケガをしてしまう可能性があります。
実際に宮崎県の火葬場でそのような爆発事故が起こっています。
また、一部の火葬場では、事故防止のため『ペースメーカー』が入ったままでは火葬ができない所もあります。
なので、諸々の確認をする上でも、故人の身体に『ペースメーカー』がある場合は、必ず火葬場か葬儀社に知らせるようにしてください。
生きている人が一緒に写った写真は入れられない?

棺の中には【故人が写った写真】を入れるという人も多いです。
故人にとって思い出深い写真であれば、棺の中に入れてあげてください。
ただ、一部では、
と言う人がいるんですよね。
そのように言われるのは、【一緒に写っている人が、故人にあの世まで連れて行かれてしまうから】という理由です。
まぁ、ハッキリ言ってまったくの迷信なんですけど、それでもやっぱり【縁起が悪い】と思っちゃう人もいるんですよね。
でも、故人が【写真に写っている人をあの世に連れて行く】なんて、そんなことは絶対にないから安心してください。
だいたい、故人は何のために生きている人をあの世へ連れて行くんでしょう?
1人だと、どうしても淋しいから?
じつは、その人のことが嫌いで【道連れ】にしてやりたいから?
詳しくは別記事の『お葬式をする意味とは何?お葬式でお坊さんがしていることを具体的に解説!』で解説していますけど、お葬式をすることによって、亡くなった人は【仏様に守られる】ようになるんです。
それは、故人にとっては、
- 『絶対的な安心がある状態』
- 『邪念がすべて無くなった状態』
になるんですよ。
そんな状態となった故人は【どうしても淋しい】とか【道連れにしてやる】という感情なんか湧かないんです。
まったく反対で、【みんなの幸福を心から願う】という感情があふれ出てくるんですよ。
だから、誰1人として【故人にあの世へ連れて行かれる】なんてことはありませんよ。
ということで、棺に入れる写真は、
- 家族みんなで撮った写真
- 友人たちと旅行した時に撮った写真
- 学生時代の集合写真
- 職場のみんなで撮った写真
など、【生きている人】が写った写真でもかまいません!
大切な故人との最後のお別れなんですから、あなたは『くだらない迷信』に惑わされないようにしてくださいね。
棺に入れられないものは骨壷に入れる

ここまで【棺に入れていいもの】と【棺に入れてはいけないもの】を紹介してきました。
でも、きっと「棺には入れられなかったけど、どうしても副葬品にしたいものがある」という人もいると思うんですよね。
特に、先ほど挙げたような、
- 指輪
- ネックレス
- 腕時計
- メガネ
なんかは故人にとっても思い入れのある品だったことでしょう。
そういう『本当は棺に入れたかったけど、入れられなかったもの』は、
骨壷に入れる
といいですよ。
火葬する時に入れられないだけで、火葬が終わった後なら問題はありませんから。
火葬後の『収骨』の時にでも、最後に骨壷の中へ入れてあければいいのです。
ただし、骨壷の中には故人の遺骨がたくさん納められていますから、上記のような【大きすぎないもの】でなければいけません。
骨壷へ入れたいものがあるなら、収骨の時でもいいですし、【墓地への納骨】の時でもかまわないので、何を入れるかちゃんと考えてから選びましょう。
まとめ:棺には、入れてよいものを2~3個だけ選んで納めましょう。
お葬式で棺の中へ入れる『副葬品』には、【入れていいもの】と【入れてはいけないもの】がありますから注意しましょう。
棺の中に入れていいものは、要するに、
ちゃんと燃えるもので、なおかつ有害物質の出ないもの
です。
例をあげると、
- 故人の着ていた服
- 家族からの手紙や寄せ書き
- 故人の趣味に関する可燃性のもの
- ぬいぐみや人形
などです。
でも、ちゃんと燃えるものでも【有毒な物質】が出るようなものは入れられませんので注意してください。
反対に、棺の中に入れてはいけないものは、
ほとんど燃えないもの
です。
こちらも例をあげると、
- 指輪やネックレスといった貴金属類
- 腕時計
- メガネ
- 水分の多いもの
- 革製品やビニール製品
- 厚い本
などです。
メガネや指輪それに腕時計なんかは故人がずっと身に着けていたものですが、残念ながら棺に入れることはできないんですよね。
本当なら、できるだけ【故人が大切にしていたもの】を棺の中に入れてあげたいのが家族としての気持ちなんですけど、仕方ありませんので【棺に入れていいもの】の中から副葬品を選んでください。
そして、棺の中に入れる副葬品はなるべく【2〜3個】くらいにしておきましょう。
べつに、たくさん入れちゃダメというわけではないですよ。
ただ、副葬品をたくさん入れ過ぎると、参列者がお花を入れるスペースがなくなってしまいますし、故人だってそんなにたくさん持ちきれませんよ。
それに、仏の世界へ行った故人はすぐに『物に対する執着』がなくなりますからね。
なので、棺には厳選した物だけを2〜3個だけ入れてください。
また、棺に入れられないものは、後日に【骨壷の中に入れる】ということもできます。
メガネ、指輪、腕時計くらいの大きさなら骨壷に入れられます。
なので、骨壷に入れるなら、お墓などへ納骨する前には入れるものをしっかり考えておいてください。
棺に副葬品を入れるのはお葬式の最後、つまり故人の全身を見られる本当に最後の時です。
よく考えて副葬品を選び、心を込めて故人を送り出してあげてくださいね。
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